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―春信、歌麿から写楽、北斎、広重まで―
浮世絵名品にみる「」の変遷展

趣旨

礫川浮世絵美術館では設立以来、浮世絵のハード(物質・技術)情報面の研究を指向しております。とりわけ2002年からは吉備国際大学の下山進教授と浮世絵着色料の非破壊分析の共同研究を行い、錦絵に使用される露草青、藍、ベルリンブルー(以下ベロ)の三種青色絵具をポータブルで簡便に分別同定する方法を開発しました。この新分析法によって、礫川浮世絵美術館を始め国内外多数の美術館・博物館所蔵の1,500点に及ぶ浮世絵作品が調査され、三種青絵具の使用変遷の状況とともに多くの画期的な新事実が発見されました。
今回の企画に於いては、出陳作品数を最多で150点(展示替え含む)とし、
 ①錦絵以前の紅摺絵のくすんだ青
 ②一変して春信に始まる錦絵の易退色性であるが美麗な露草青
 ③写楽による初使用の改良された非退色性藍
 ④文政後期に至る藍使用の漸増
 ⑤文政12年に始まる北斎「冨嶽三十六景」への究極の青絵具ベロ(ベルリンブルー)の導入
 ⑥藍からベロへの移行は僅か天保1~2年の短期間で完了し、ベロ使用浮世絵風景画の爆発的な一般化とベロこそが風景画確立の物質的要件であった

とする展示区分により内容の充実化をはかり、「青」変遷過程の容易な理解と魅力的な浮世絵の「青」の鑑賞に答える十分な展示を計画しております。
殊にセクション⑤は、従来青色にはベロのみ使用と思われていた北斎の「冨嶽三十六景」シリーズが主板に藍、色板にベロの2種の青絵具を使用し微妙な配色表現が行われ、ベロの使用パターンが藍からベロへの移行期のそれであり、江戸錦絵のベロ導入を誘導した文政12年に制作が開始されたこと等、世界を魅了した北斎名画“凱風快晴”“神奈川沖浪裏”の青の秘密を科学的に解明した展示となっております。それらは②の写楽版画の藍初使用と共に注目を集めるユニークな対象内容であることが、当企画の大きな特色であります。

開催予定(変更の可能性有り)

2011年 02月 15日 ~ 2011年 03月 21日
とちぎ蔵の街美術館(栃木)

主な出品作品


座敷八景「時計の晩鐘」 鈴木春信
1766 年
青の着色料:露草青


「当時三美人」
喜多川歌麿





蘭字枠洋風風景画「隅田川」
柳々居辰斎(北斎門弟) 1810 年頃
青の着色料:露草青


当世三十二相「世事がよさ相」
歌川国貞 1822 年頃
青の着色料:露草青+藍





冨嶽三十六景「凱風快晴」
葛飾北斎 1829 年
青の着色料:ベロ(+藍)


東都名所「大森」
歌川国芳 1831 年頃
青の着色料:ベロ





東都名所「日本橋」
歌川広重 1832 年頃
青の着色料:ベロ



概要

展示物:

①墨摺絵、丹絵、紅絵、漆絵、紅摺絵
墨摺絵:菱川師宣、丹絵:鳥居清信、 紅絵、漆絵:奥村政信、田中益信の浮絵、紅摺絵:石川豊信

②春信に始まる錦絵の青:露草青
春信、湖龍斎、清長、歌麿、栄之、春潮の美人画、勝川春章、勝川派の役者絵

③写楽の青:非退色青絵具・藍の初使用
写楽、豊国、国政、春英など

④文化・文政期の藍使用の漸増・一般化
北斎、葛飾派、豊国、国貞、英山、英泉

⑤藍からベロへの変換
国貞、国芳、英泉、北斎、広重

⑥北斎「冨嶽三十六景」の青:ベロの導入と藍の併用
北斎「冨嶽三十六景」

⑦ベロ使用の普遍化、風景画興隆
広重、国芳、英泉、国貞、豊国Ⅱ

⑧置ケース中:各青絵具等の資料展示 藍蝋、青紙(露草青) 板木

【お問合わせ】

より詳しい内容を記載した企画書をご用意しております。
本企画展にご興味をお持ちの方は、是非お気軽にお問合わせください。